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「ゲノム編集がもたらす食の変化の可能性を考える 2」-②健康促進トマトの開発- を受講しました!

くろまろ塾運営ボランティア スタッフ2019年10月26日 18:00 |

みなさま、こんにちは!
くろまろ塾運営ボランティアの後藤です。よろしくお願いします。

昨年のゲノム編集に関する講座に続いて、今年もゲノム編集について受講生も一緒に考える講座が開かれています。(昨年の講座のブログはこちら)

第1回目「育種技術としてのゲノム編集」(大阪府立大学大学院 生命環境科学研究科 山口夕先生)は、ゲノム編集技術の基礎と実際に開発途上の作物について講義があり、質問に答えてくださいました。
ちょうど厚生労働省が10月からゲノム編集食品の開発者の届け出に先立つ相談受け付けを始め、早ければ年内にもゲノム編集食品が流通し、食卓に並ぶとの報道があったばかりです。
今まさに話題のゲノム編集ということでテレビ局の取材があり、翌日の放送では受講生が質問する姿がテレビに映し出されました。

今回は、第2回目「健康促進トマトの開発」(サナテックシード株式会社 住吉美奈子先生)です。
後半、大阪いずみ市民生協の三原さんからゲノム編集に対する生協としての考え方の説明があり、その後受講生も参加してパネルディスカッションが行なわれました。

サナテックシードは「筑波大学発ベンチャー」で、ゲノム編集技術を使って品種改良された農作物を販売するために立ち上げられ、まずはGABAの成分を増やしたトマトの販売を目指しています。
住吉先生は、ポイントを二つに絞って講義されました。

①GABAを高めたトマトって何?
②ゲノム編集食品の安全性をどう考えるか。「届け出」という言葉は何か?

まずトマトですが、原産地の南米アンデスからメキシコに伝わり、探検家コルテスによってヨーロッパへ、さらに江戸時代には日本に伝わっていたそうです。

当初は観賞用として扱われ、野菜として普及したのはごく最近のことです。

品種改良によって次々と新しい高品質のトマトが生まれていますが、2012年にはトマトの全ゲノム配列が解読されました。
高GABAトマトはどのように開発されたのでしょうか。
GABAにはストレスを和らげたり、血圧の上昇を抑えたりする働きがあるそうです。
植物の中でGABAを合成する酵素はふだんは活動を抑制する「蓋」で覆われているそうですが、植物にストレスがかかった状態になると、この蓋が外れてGABAが合成されます。
そこで、ゲノム編集技術のクリスパ・キャス9を使って蓋の部分を除くと、常にGABAが合成されるようになり、通常のトマトの4~5倍ものGABAを含むトマトが出来たのです。

遺伝子を切るハサミ遺伝子について受講生から質問が出ました。
元々は菌がウイルスを退治するときに使う遺伝子で、植物が持っているものではないことと、ゲノム編集でハサミ遺伝子を使ったあとで交配を繰り返すことでヌルセグリガントというハサミ遺伝子を持たない品種を作り出せるそうです。

次に、ゲノム編集食品の安全性と、「届け出」という言葉について教えていただきました。
ゲノム編集食品には、外部から遺伝子を導入する手法と、狙った遺伝子を壊して変異を起こす手法がありますが、後者について国は「自然界でも起こりうる変化」「従来の品種改良と区別できない」などとして、安全性審査の対象外としたそうです。
開発者には「届け出」を求めるが、義務ではないそうで、表示義務も課さない見通しだそうです。

大阪いずみ市民生協の三原さんからは、これまで「ゲノム編集の未来を考える会」と共に勉強会を重ねてきたこと、安全審査に合格して流通している遺伝子組み換え食品で実害が出ていないこと等から、ゲノム編集食品に制限を加えることはしない、ただし表示はするとのお話でした。

受講生代表の中西さんも加わり、パネルディスカッションが行なわれました。
生活協同組合コープこうべからも3人の方が受講され、熱心に質問されました。
ハサミ遺伝子について再度質問が出ました。
オフターゲットという、狙った遺伝子ではない別の遺伝子を切ってしまうリスクについても質問がありました。

GABAを多く含むトマトは、トマトジュースとして既に売り出されているが、ゲノム編集のトマトはどう違うのかという質問がありました。
実は私も同じ疑問を持っていたのですが、ゲノム編集のトマトの方がGABAの含有量がけた違いに多く、小さいトマトを一日に1粒か2粒食べるだけで血圧の上昇を抑えられると期待できるそうです。
トマトは栽培方法(塩トマトや水ストレス)によって、糖を多くしたりGABAを多くしたりできますが、労力がかかり収穫量が少ないのが課題です。そこで今回ゲノム編集という違うアプローチから、ストレスを与えなくてもGABA含有量の多いトマトを作り出すことにしたそうです。

ゲノム編集食品の世界的な状況は?という質問もありました。
アメリカでは高オレイン酸大豆や高収量のワキシーコーンがゲノム編集で作り出され、すでに販売が始まっており、ワキシーコーンが日本での「届け出」第一号になる可能性もあるそうです。アメリカでは、従来の品種改良と区別できないとして、日本と同じように安全性審査は必要ないとしているそうです。

NHKクローズアップ現代「解禁!ゲノム編集食品~食卓への影響は?~」を見ましたが、
「ゲノム編集食品に不安を感じる人もいますが、すぐに受け入れられるでしょう。スマホの仕組みは分からなくても使いますよね。それと同じですよ。もちろん日本にも輸出しますよ。」
とゲノム編集食品を開発中のベンチャー企業のCEOがインタビューに答えていました。
一瞬そうかもしれないと思ってしまい、いやいやそんなに簡単に納得してはいけないと思いました。

住吉先生が、「ゲノム編集食品はわからないから不安ではなく、理解した上で、食べたいか食べたくないか判断してほしい。」、「悪い物を作っているつもりはないので、情報提示して望んでくれる方に販売したい。スーパーに並ぶのはずっと先のこと。」とおっしゃるのを聞いて、個人的にはすごく応援したくなりました。

「血圧が下がるならGABAトマトを食べてみたい。ただし、アメリカ産というだけで拒否反応を起こす家族がゲノム編集食品を買うことは考えられない。」という受講生の意見もありました。
私も、自分はいいけれども、子供とか孫とか未来の世代に影響があるかもしれないと考えると慎重にならざるをえないと思いました。

最後に、これからの農業の課題として、温暖化による異常気象や人口増加に伴う食糧増産の必要性から、ぜひゲノム編集食品の研究を進めてほしいという意見が受講生の中から出たことで、まとめになったように思います。

受付を担当して頂いたくろまろ塾運営ボランティアの皆さま、お疲れさまでした。

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