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2019年8月1日

植物の生命~植物の生き方と種子のふしぎ~種子の不思議と進化

くろまろ塾運営ボランティア スタッフ2019年08月01日 09:00 |

みなさま、こんにちは!
くろまろ塾運営ボランティアの後藤です。よろしくお願いします。

特別講座:植物の生命~植物の生き方と種子のふしぎ~(全2回)
①世界の山の植物とその生き方
②種子の不思議と進化
を受講しました。
今回は、第2回目をレポートさせていただきます。

講師の久山敦先生は、鶴見緑地にある「咲くやこの花館」の館長さんです。英国王立キュー植物園で研修された後、植物を求めて世界中を旅されたスケールの大きい方です。
第1回目の講座ではチベットの珍しい高山植物レウム・ノビレを始めとして、世界の様々な環境で育つ高山植物を、自らの足で巡って撮影された数多くの写真を用いて解説されました。

今回は、種子の講座ということで、タビビトノキ(チラシに載っていた鮮やかな青いタネ)、アルソミトラ(空中をグライダーのように舞うタネ)、オオミヤシ(世界一大きいタネ)等々、数多くの珍しいタネの標本を持ってきてくださり、講座が始まる前から展示の前は大賑わいでした。

(ククイの実のレイを掛けて、オオミヤシの説明をされる久山先生)

(数多くの珍しい標本が展示されました。)

講座は、ダーウィンの進化論の
「生き残るのは、最も強い種ではなく、最も賢い種でもない。生き残るのは、変化に最も順応できるものである。」(『種の起源』より)
という1節から始まりました。

最近のテレビ番組では、食虫植物が虫を捕まえる様子を「賢いですね!」と言われるが、これはおかしい。生物が進化した姿を見て「賢い」、「工夫している」というが、世代交代の際にDNAの異なるものとの間で生じた複数の個体には、バラツキがあり、その中で環境に適した個体が残り、「賢く」見えるだけと話されました。
メンデルの法則から、孫の代に「バラツキのある種子」が生じること、そして環境に適し生き残れたDNAを持つものが進化したものとして残ること(有性生殖による進化)を教わりました。

一方で、果物の挿し木、株分け、さらにはランの成長点培養などの、自然発生の変異株や品種改良されたクローン株による無性生殖が人類にとって重要な役割を担っていることと、単一の遺伝子を持つものを増やしたせいで絶滅の危険性があることも、バナナを例に教えていただきました。

野生のバナナは黒い種だらけで実の部分が少ないものでしたが、たまたま種の無い品種を見つけて、株分けで増やしたそうです。ところが、フザリウムというカビの一種による病気で、同じ遺伝子を持つ株は壊滅的な被害を受けました。
一種類のバナナは滅びてしまい、現在はキャベンディシュという、日持ちがして、料理にも使える品種が栽培されていますが、キャベンディシュもフザリウムによる新パナマ病で絶滅の危機に瀕しているそうです。
種の無いものから新しい品種を作り出すことは難しく、種一粒はダイヤモンドより高くつくそうです。

有性生殖による「進化」と、品種改良されたクローン株による無性生殖と、これら相反するものがいずれも人類にとって重要であることを教わりました。

さて、ここからは実際に貴重な標本を見ながらの種子散布のお話です。
全部は紹介しきれないので、その中のいくつかを紹介させていただきます。
なかなか子離れできない人間と違って、植物は子供をなるべく親から遠くに離れていくように、時には何千キロも遠くに散布します。
動くことのできない植物にとって、種子散布は唯一の移動のチャンスなのかなと思います。
風に運ばれるタネ、水に運ばれるタネ、動物に食べられるタネ、アリが運ぶタネ、動物にくっついて運ばれるタネなど散布の方法はさまざまです。

まず、風散布のタネですが、アルソミトラ(ハネフクベ)を実物を手に説明されました。
アルソミトラは熱帯アジア原産のウリ科のつる植物で、雌株のつるが数十mに伸びると樹上に頭ほどの果実をつけ、その中には三百枚程度の種子つきの羽根ができます。
熟すと底に開口部ができ、1枚ずつ親株から離れた場所に飛行していきます。1m下がる毎に4mほど水平に移動するそうです。
以前、LIXILギャラリー「種子のデザイン/旅するかたち」展で、熱帯雨林を滑空するアルソミトラの映像を見たことがありますが、グライダーのようでした。
人類が空を飛ぶ夢を追い求めていた時代、アルソミトラの構造を参考に飛行機が作られたそうです。

ところで、下の写真は何のタネでしょうか?

大抵の人は答えられないそうです。
私もウバユリの実に似ているのでユリの仲間かな?と考えましたが、わかりませんでした。
答えはチューリップです。
莢の中にタネがあり、蒔いて育てると花が咲くまでに最低8年かかるそうです。
ふつうは球根を育てて、花を切って球根を太らせるので、タネを見る機会はありません。

これは原種のチューリップです。
チューリップの生産地はオランダが有名ですが、原産地はトルコです。
トルコではラーレと呼ばれ、トプカプ宮殿を飾ったチューリップが、オランダに伝わり、チューリップ・バブルを引き起こした歴史には心惹かれるものがありますが、原種のチューリップは育て方によっては30~40年生き続けることができるそうです。
原産地が乾燥地帯なので、梅雨が苦手ですが、水はけのよい日向土に植えると植えっぱなしでも大丈夫だそうです。

咲くやこの花館に昨年春、パラボラッチョ「酔っぱらいの木」と呼ばれる3トンもある樹が運ばれてきました。この樹は元々館内で育っているトックリキワタの仲間で、アルゼンチン原産で、飛行機で運ばれてきたそうです。

トックリキワタの繊維は、油分を含み水をはじくので、発泡スチロールなどが登場するまでは、救命具に使われていました。種子は繊維と一緒に親株から離れた場所に運ばれ、親子が光の取り合いなど競い合うのを防止します。

トックリキワタは、咲くやこの花館で最初なかなか実をつけず、違うクローンの枝を接ぎ木して、やっと今のように沢山の実をつけるようになったそうです。
上の写真でハイビスカス似の花が3タイプ見られるのは、違う木の枝を接いだためで、1株で3株の役割を果たしています。
接ぎ木は人間の知恵ですが、果樹では古い幹を使って新しい品種の枝で果実のなるものを接ぎ木すると、すぐに実がつくそうです。

マダガスカルに自生するタビビトノキは美しいコバルトブルーのタネをつけます。
この青色は種子を被う毛の色ですが、現地のラッフルキツネザルが好む色で、種子を運んでくれます。白い花をつけますが、蜜が多く、花粉媒介もこのキツネザルがしていることが分かったそうです。
南アのゴクラクチョウカの仲間ですが、タビビトノキという名前の由来は、葉が東西方向に広がり旅人に方角を示すとか、葉柄を切ると水が出て旅人の喉を潤すとか言われていますが、実際は方角は当てにならず、水は汚いそうです。

水散布のオオオニバスの花は18時頃に咲き始めます。
白い美しい花でバニラのような良い香りがし、これに誘われたコガネムシの仲間は蜜を吸いに中にはいります。
そして一晩花の中にとじこめられますが、その際に他の株の花粉を雌しべに運びます。ただその時点ではこの花の花粉はシールされていて、自家受粉しない形になっているそうです。
翌日、花は虫の好まない赤色に変化し、花粉が現れて虫の体につき、この花粉は他の株に運ばれて行きます。
ハスの種子は、大賀ハスを始めとして寿命が長いことで有名ですが、蒔いても直ぐに発芽する種子や50年後に発芽する種子など様々で、これは池の水が抜けたりしても生きる次のチャンスを狙うリスク管理だそうです。

最後は、付着動物散布です。
ひっつき虫に付かれた可哀そうなワンちゃんと、ひっつき虫からヒントを得て作り出されたマジックテープです。
飼い犬にくっついたゴボウの種子がマジックテープ発明のヒントだったのですね。

この他にも、様々な植物の生き方と進化した種子を紹介してくださいました。
その一つ一つを自分で調べて、勉強して、さらに深い知識としたいと思う講座でした。

司会、受付を担当して頂いたくろまろ塾運営ボランティアの皆さま、お疲れさまでした。

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